ある日キキは「もううんざりだ」と言ってスプーンを放り投げてしまった。 ぼくは世界が水びたしにならないようにいっしょけんめいかき混ぜていたけれど、とうとう力尽きる日が来てしまったのです。 がらん、とスプーンがぼくの手から滑り落ちて、世界はだんだんと止まっていきました。

あぁ、神様は僕をお叱りになるだろうか ? ぼくは悪くありません、悪いのはぼくを残してひとり逃げたキキなのです 何もかもがわからなくなるまえにこう唱えると、神様のあたたかなささくれだった手がぼくのからだを地上へと投げられた。

叩き付けられたぼくのからだはみるみるうちに溶けだして、辛うじて開いた視界の中に、ちょこれいとのように溶けきってしまったキキのからだが見えた。