あかちゃんが出来たと言ったら、慎哉は震えた。


これが、おぞましいものなんだと。 知る。
見えますか、
それは安全ですか、



「あたしはどっちでもいい」
はずはなかった。
あたしは慎哉をあいしていたし、慎哉もそうだったから、これは出来たのだ。

「産みたいの」

怖い声で慎哉が言う。
産みたいよ、産んでほしくないの。
あたしはこの世界に生まれてよかったよ、慎哉に会えた。

「 うめないでしょ 」

あたしが言うと、慎哉は少し長い息をした。






「……産んで、ほしかった?」
「ん」
「あたし、慎哉がすきだよ」
「   ごめんな 」

もっと早く、おとなになればよかったと思った。
肩に頭を乗せてくる慎哉が、小さかった。

この子を産むか 否か
命を絶つか 否か。

どちらにせよ、
幸せな手段を選びたい。

あたし、この子のためならしねるよと言うと、
俺はまだ由真といきたいよと聞こえた。
見えますか、
それは安全ですか、

私はまだ生きたい。