蒸した空気をあまり気にしないように、カーテンの隙間からグラウンドを見た。
大げさにボールを蹴り上げる清彦は、相変わらず何をやらせても不格好で、どうにも小器用には見えやしない。
いっしょけんめいな想いだけが先走って、ちっともスマートじゃない。
『ホンマに、あかん子ォやねんから』
頬杖をついて誰にも聞かれないようにつぶやくと、 でもそこも可愛いねんでなあ と自然にこぼれて一人笑えた。
少しも期待を裏切らない飼い猫のようなきみが、
汗だくになって帰って来たら、私を見て笑ったら、
あのやわらかい天然パーマの髪を少しなでてやろうじゃないか。
空はもう、こんなにも高い。