きーくんはあほだから、うちがおらな生きてかれへんよ
と言うと「まぁなー」と笑った声が返ってきた。


「怒らへんの?」

「おれほどのええ男はそうおらんやろうしな!」

「は?」

「照れんでええ、照れんでええ!」

「(ああ、いつものあほか)」


そうだね とあたしが言うと、また少し木野は笑った。


「あみちゃんいねーと、おれ生きらんねーよ」


そうだね と今度はあたしが笑って言うと、
ファスナーを開かずにジャージをかぶって頭の出なくなった木野が
 あみちゃん、たすけて と言って片手だけを生やした。




(まあ、ここまであほならいなくなったりはしないだろうし)